ごろねスタッフの雑記帳・ひなたぼっこ【第4回 缶つぶし】

 私が関わった重度の知的障害のある人が日常的にやっている作業に缶つぶしがあります。

缶の置いてある場所から作業室に持っていき、道具を用意して、缶をつぶし、片付ける、という流れをやりきることで「がんばった」という手応えを大切にした作業です。

当初は、作業に入ってくれない、途中で作業室から出てしまう、など関係ができるまでは一連の流れを終えることができませんでした。

数ヵ月後にようやくすべての工程を終えてくれた時には、つい「ありがとう!」と言ってしまいました。


 本人からすれば、缶つぶしそのものにはあまり意味を感じていないかもしれませんが、缶つぶしという作業を通して、この職員とはがんばる、この職員とは作業をしない、など関係性次第で作業の仕方を自分なりにつくっています。缶つぶしの作業そのものから生産されるものは、つぶれた缶だけかもしれません。

でも、がんばったり、妥協したり、やりきったことを共感したり…作業を通して、その人なりの人間関係や日常をつむいでいます。

作業で生産された結果だけでなく、その過程で生まれている多様なものに目を向けたいと思います。

0コメント

  • 1000 / 1000

雑貨屋 ごろね

障害のある人が働く作業所で作った雑貨とコーヒーの販売 京都・東山 三善(みつよし)路地 2020年7月23日にオープンしました。